■了慶寺の住職について
近代住職
☆御堂開山浄円のこと
当寺第十代浄円は平林大塚津右ヱ門家の生まれで、本山毫摂寺善静上人に師事し、
縁あって了慶寺に入寺しました。十一代浄賢は善静上人の血脈を汲むといいます。
その後、浄専、浄寛、浄真と後継し、当浄厳で第十五世になります。
☆第十二代慈光院釋浄専(昭和5年、84歳で往生)は人徳あり、布教をよくし
たようです。特に、大屋の中村嘉右ヱ門老翁が胸に刻み込んでいたという浄専の
法語を、当住が高校生のころ翁から口移しに伝授されました。今でも忘れられな
い名法語です。
「念仏申さるべし これは如来の
本願なり この中に助け給ふ御計
らいあり これを信ずるを弥陀を
たのむとは申すなり」 浄専法語
(毫摂寺善解上人御筆)
また、寺のために田地、山林など
を求める世才にもたけていたそう
です。
☆第十三代普勧院釋浄寛(昭和14年、60歳で往生)
大谷大学で真宗学を学び、大正新脩大蔵経、真宗全書などを求め、学問をよ
くした人です。本山で安居の講師をつとめ、また布教にも精励しました。歿し
て「贈講師」。その院号に因み、師所蔵の経典類を収蔵する経蔵は「普勧蔵」
と名づけられています。
☆第十四代忠諦院釋浄真(昭和20年、39歳で戦歿)
龍谷大学で国文を専攻。二度従軍、したがって住職としての活動期間は極
めてすくなく、北陸中学で国語・漢文の教師もしていました。
☆当住 第十五代 釈浄厳 (略歴) 俗名 藤枝宏壽、昭和8年(西暦1933)生まれです。
11才で父(戦死)と別れたため、早くから寺務に
かかわり、昭和32年京都大学(英文)を卒業する
と同時に住職に就きましたが、小寺の常として“二
足草鞋”をはかざるをえず、英語教員として県立藤
島高校、国立福井高専、国立福井医科大学に勤務す
るかたわら、住職としての任務にも及ばずながら従
事してきました。
宗学は学生時代に大谷大学で一年聴講した他、県内の各本山、諸寺に
おける仏教講習会等にできるだけ出席し、諸師の個人的ご指導も受け、
学ばせていただきました。
教員退職後には、通信教育で仏教大学に入り、曇鸞の『論註』(二種
法身)を研究する機会を得て仏教学修士を取得、その成果の一部を真宗
連合学会で発表しました。
若いときから必要にせまられて自坊での布教を習い、漸次他の寺、当
派本山でも布教をするようになり、近年では東西本願寺派など、他派の
お寺等にも出向くことがありました。
出雲路派においては、宗会議員を8期、そのうち議長を3期務めました。
その間、宗制・宗規等の整備、『常用勤行集』の編集・出版、後に『門
徒のこころえ』の編集などに携わりました。
当住の著書等は上欄右の「著書」の窓に記載してあるとおりです。
☆了慶寺の衆徒 当寺には住職の他に釈浄憲、
釈浄宣、釈浄潤、3人の衆徒がいて、住職を助けてきています。
令和元年、釈妙慧が候補衆徒として加わり前坊守十三回忌に出勤しました。
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当住の教化活動としては、まず昭和46年に開校し51年継続した王子日曜学校がある。
毎週2回、年中通して開講:おつとめ、法話、仏教こども新聞学習、こくごのパワー
アップ、紙芝居、DVD,ゲーム、カルタ等、変化に富む構成。また花まつり、早起
き会、マイカー遠足、老人ホーム訪問、子ども報恩講、新年会など、楽しい行事も実施
してきた。
30数年前から始めた法話テープ友の会は当時大変人気があり、松村源一氏
のような篤信者(『聞法は光』の主人公)がテープ1000本を聴き、500
枚ほどの聴聞ノートを書かれたりもした。現在でも毎日おつとめのあと一本ず
つ聴聞しておられるような熱心な会員が何名もおられる。1100本のテープ、
200本ほどのCD、DVDの活用が望まれる。
これも同じころのスタート:掲示法語ハガキを毎月1日に門徒・信徒有志に
送っている。その日を待っている人が多いようだ。定期的に、また臨時に感想な
どを返信される方もあり、励みになっている。入院のとき束ねたハガキを枕元に
おいて心の安らぎを得たという話も聞いた。
年末除夜の鐘のときに発表する百八法句は令和4年を迎えるに当たって36
回目を迎えた。大勢の投句者が、それぞれ日常の日暮の中で、仏法を味わった実感
を5-7-5に表現してこられる。作るときも、読むときもみな法味樂のご縁だと
尊く感じている次第。
門信徒教化のため、教職と住職兼業の仲間と始めた『群萌』(季刊)は58年間
続いていて、今(令和5年で)232号。A4版で10頁。どの頁も題材、文体、気
風に変化があり、心ある読者に好評である・・・「読み応えがある」と。会員は毎号、合
評会で法談をたのしんでいる。
今ひとつ「安らぎ法話ダーナの会」を9年前に発足し、老人施設、視力障害者図書
館等への図書『老いて聞く安らぎへの法話』とそのCDの献呈;希望に応じ法話をダー
ナ(無料奉仕)している。毎月1回2年以上訪問した施設もあったが、今はコロナで休止。
関連してビハーラ医療団の会員でもあり、年次大会で何回か発表した。
寺院内にあっては、毎月1回の「聞光会」(法話会)でいろんな聖教を聴講者ととも
に味わっている。目下は「親鸞聖人のご和讃を味わう」シリーズに入っている。マイカー
で来寺される方が多い。20~30㎞先からでも・・・。
同市内の当派本山毫摂寺では、毎月(7ヶ月)1回「聖典講座」を過去10年間担当して
きた。平成31・令和2年には第9期、「現代語訳で 無量寿経をいただく 上」を終えた。
同 下巻は令和2~3年のコロナ禍による延期後、聖典講座Ⅹ期として、令和4年4~10月
に再開・完講した。
過去10年に亘る聖典講座のこと、その他の業績を認められてか、満講の後、ご門主より
「講師」の学階を授与された。
※ 令和元年5月6日付 朝日新聞「声」に投稿が載る。
この「声」に反応がかなりあり、工夫の実物を求められたので2冊送る。