ZS 夕焼小焼

 「夕焼け小焼で日が暮れて
  山のお寺の鐘がなる
お手々つないで
皆帰ろう
烏と一緒に
帰りましょう」

この懐かしい童謡は1919年(大正8年)に発表された
中村雨紅(1897-1972)の作詞に、草川信が1923年
(大正12年)に曲をつけた童謡ものである。雨紅はこ
う書いている。

 こうして世に出た「夕焼け小焼け」の作詩は、いつさ
れたものかはっきりしません。福井先生から話があっ
たその時新に作ったのか、既作のものを出したのか、
急いでいたので、おそらく既作の中から選んだものと
思われます。それは他の大正八年頃作詞したものの
間に記帳しているからです。
 更にこの「夕焼け小焼け」がどこで、どんな場合に作
詞されたかについては、三十五、六年も前の事でこれ
ももうはっきり覚えがありません。それに歌詞の中に
固有名詞も個性的なものも含んでいませんから。
 私は東京から故郷への往復に八王子から実家まで
への凡四里をいつも徒歩(その頃バスなどの便はあり
ません)でしたので、よく途中で日が暮れたものです。
それに幼い頃から山国での、ああいう光景が心にしみ
込んでいたのがたまたまこの往復のある時に、郷愁な
どの感傷も加わって、直接の原因になって作詞された
のではないかと思っています。

 実はこの歌の「山のお寺の鐘」について、三つのお寺
が我が寺だといって論争し(石碑まで造って)ているそう
です。それで雨紅も明言していないのでしょう。

 味わいとしては、我々人生の「夕焼け」には
「山のお寺の鐘」に如来の本願を聞き、「烏」・・・衆生と
いっしょにお浄土に「帰」らせてもらいましょう(普共諸
衆生 往生安楽国)、である。

 因みに坂田喜作氏のすばらしい画「夕焼け」がある。
(『老いて聞く 安らぎへの法話』に掲載されている)

(出典 聞法ノートより)
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