SI 子供の臓器売買

 さらに臓器の売買がある。昨年8月、臓器目的で赤ちゃんの売買を行
なうブラジルの犯罪組織が摘発されたと報道された。生後15日の乳児
を約200ドルで買いドイツに輸出し、臓器移植に必要とされる心臓や腎
臓を提供するのである。心臓は約8万ドル、腎臓は約3万5,000ドルで
売られる。つまり片方に臓器を必要とし、それを購う人が存在し、他方
ではそれを供給しようと考える人が存在する限りは、臓器にはマーケット
価格が生じる。インド人の臓器はヨ-ロッパ人が、中国大陸の臓器は
台湾人が移植してもらうという構造は、すでに定着しているようにも見え
る。臓器移植にマーケット性がある限りは、今後途上国の子供たちが
誘拐され、その臓器を金持ちが買う例はもっと増えるだろう。??
 
(出典 東京大学 大井 玄 「臓器移植法案について」2003年12月)
【キーワード】 臓器移植 臓器密売 誘拐
子供 貧富の差 エゴ

<参考に 上記の論文結論>
 今、心臓移植で治るかも知れない人がいる際、私たちは何とかして
救おうという気持ちに駆られる。キリストは自分の身を犠牲にして人類
を救おうとした。仏教でも我身を飢えた虎に食べさせる慈悲が説かれ
ている。しかし他方では、仏は、「貪ぼるなかれ」と説いている。たしか
に人間は生きたい。生きれるものならば生きたい。わが子を救いたい
という気持ちを持っている。しかし、もしある特定の人の命が、この世の
中の何十万人という人命にもまして大切と言うのなら、私は賛成できな
い。いや、まずはともあれ、私たちが他の動植物の命、さらには人間の
生命を犠牲にして生かされている存在であることを認識すべきだと考え
る。もしこの認識に立つならば、そして今後人間と人間、人間と他の生
物との「共生」を目指すならば、2,500年前のブッタの「貪るなかれ」とい
う教えはまことに適切であろう。??
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まとめると今回の臓器移植法案は我々の大切な死の文化を著しく変え
る恐れがあり、あまり有益ではない医療を助長する恐れがあり、そして
長い意味で地球上の共存共生という目的に抵触する意味があると思わ
れる。そのような効果が予期される法は、たとえ善き意図をもって作ろう
とするにせよ、極めて慎重な扱いが必要であろう。??