SC 他化天の大魔王

 現世利益和讃に
「南無阿弥陀仏をとなふれば
他化天の大魔王 釈迦牟尼仏のみまへにて 
まもらんとこそちかひしか」
  (他化(たけ)(自在(じざい))天(てん)の大魔王が釈尊の前で、念仏者を護ると誓ったという)との一首がある。
 他化天とは、欲界六つの天の最上で、この天は他人の享楽を自由自在に自分の楽として受けるという。だから魔王といわれ、多くの眷属をひ  きいて仏道の妨げをする。だのにその大魔王が護法を誓ったというのだから、念仏の功徳の不思議さが思われる。
 先の炎魔法王を「死の神」とすれば、欲界の大魔王は「生の神」と言える。しかし「魔王」である。現代は「生の享楽」を貪り求める時代であるが、その反面、産業・生活廃棄物による海洋汚染、地球温暖化、新型ウイルス、コンピュータウイルス、麻薬、ギャンブル依存症、等の障害が起きている。魔王の忍びよる「よりしろ」ともいえよう。
 念仏の光に遇っている人は、ご恩の世界が見えている。便利な「チン」ひとつで快適な食事ができるときも「もったいない、ナンマンダブツ」と感謝する。こうして欲楽に溺れず、安楽を当然とはしない者には、魔王のつけ込む余地がない。釈尊が成道される前の「降魔(ごうま)」もそのこと。悪魔はその正体(煩悩・欲望)を見破られたときその魔力は消散し、却って仏・念仏者の徳に帰服し、護るのである。

 そもそも仏教における「天」はすべて「迷い」の世界(迷界=三界)の中であって、「悟り」の世界(悟界)ではない。〈キリスト教や儒教などでいう「天国」ではない。〉
 三界とは欲界・色界・無色界、そして各界に6,18、4の天があり、三界全部で28天ある。以下最上の無色界から下へ、全天の名をあげる。

    三界における天の分類
天は上から順に、次のような構造になっている。これらの天の名の多くは、世界と同時に、その世界の住人をも意味する。

無色界(無色天、無色界天、四禅定)
- 欲望や色(肉体や五感などの物質的世  界)から超越した、精神のみの世界。  《哲学の世界に類似》
  禅定の段階により4天に分けられる。
   ・非想非非想処天(有頂天、非想非非想処、非想天)
   ・無所有処天(無所有天)
   ・識無辺処天(識無辺天)
   ・空無辺処天(空無辺処、空無辺天、無量空処)
色界(色天、色界天、色行天、色界十八天) 《自然科学の世界に類似》
 - 欲望からは解放されたが、色(物質)はまだ有している世界。禅定の段階により大きく4つに分けられる。
 第四禅天(四禅九天)
  ・色究竟天(阿迦尼吒天)
  ・善見天  善見天と善現天は位置が逆になることがある。
  ・善現天
  ・無熱天
  ・無煩天(浄居天)(無想天)
  ・無想天
  ・広果天 - 外道天とする。十八天説では、広果天の上に無想天を立てる。
  ・福生天
  ・無雲天
 第三禅天(三禅三天)
  ・遍浄天
  ・無量浄天
  ・少浄天
 第二禅天(二禅三天)
  ・極光浄天
  ・無量光天
  ・少光天
 初禅天(初禅三天、一禅天)
  ・大梵天 - 梵天が住む。十六天説では、大梵天を梵輔天に含める。
  ・梵輔天
  ・梵衆天
欲界 (Kāmadhātu) - 欲にとらわれた世界。六欲天
    《心身の欲望の世界に類似》
  他化自在天(第六天、魔天)- 天魔が住む。
  楽変化天(化楽天)
  覩史多天(兜率天、兜率陀天、兜卒天、都率天)
  夜魔天(焔魔天、第三焔天)
  三十三天(忉利天)- 帝釈天が住む。
  四大王衆天(四王天 、四天王天)

(出典 聞法ノート)
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