SC  「令 和 合」

新元号「令和」が祝賀ムードの中に定着した頃、ふと重宝している大正新脩大蔵経を調べてみて驚きました。「令和」という文字列が 159回も出て来るではありませんか。しかもその中の 92回は「令和合(りようわごう)」(和合せしむ・和合させる)でした。
 例えば、大蔵経最初の『長阿含(じょうあごん)経(ぎょう)』には「お釈迦さまは両舌(二枚舌)を捨滅(忌避)され、諍訟(そうしょう)(争いごと)があれば、よく令和合(仲よく)させられる。和合ができれば、その歓喜は増す」と出ています。また華厳経(けごんぎょう)にも同じように「あらゆる諍訟において、関係者みなを令和合(仲よく)させれば、無上の浄喜を得る」と説かれています。
  「和合」は当事者同士の「我が思い」にとらわれた自己主張だけでは実現できません。そこには和合に導く理念が必要です。(その導きが「令」の意味だと思います。)たとえば聖徳太子が「和をもって貴しとなす」「(彼も我も)ともにこれ凡夫(ただひと)(凡人)ならくのみ」と、仏教の精神に基づいて制定された十七条憲法など、正しいよりどころがなければ和合に至りません。
 令和の時代、国際的にも、国内的にも「諍訟」は絶えないかもしれませんーここは娑婆だから。願わくは「令和合」の仏意が顕現し、世の中が「歓喜」「浄喜」で包まれること、「世の中安穏なれ、仏法ひろまれ」(親鸞聖人)を念ずるばかりであります。

(出典 聞法ノート:SAT検索 20190601)
【キーワード】令和 和合 長阿含経 華厳経
   以和爲貴 聖徳太子 十七条憲法 凡夫
   親鸞 安穏

【参考】
  「令(りよう)諸衆生 功徳成就」(無量寿経)
    新元号「令和」が出たとき、すぐに思い浮かんだのは、上の経文である。使役の助字「令」は「・・・をして・・・せしむ」である。法蔵菩薩が発願・修    行された功徳を、自らのもととせず、衆生に成就させる・・・衆生に回向するという尊い経文だ(蓮如上人も御文(5-5)「信心獲得章」で引用さ     れている)。
  そこで、フト思いついてSAT(『大正新脩大蔵経』のデーターベース)で検索した結果が、上記の文である。「令」には、仏のさとり・智慧からの「おお   せ、おしえ、いましめ」(角川漢和中辞典)の意味がある。「上からの命令はいや」と反発するのは、迷妄の衆生の性だ。三宝に帰依する心持ちで聞  けば、「令」の文字に仏の智慧と慈悲が実感できるはずである。