SC 卍(まんじ=万字)

 卍(まんじ=万字)は、仏書に用いられる万の字で、仏・菩薩の胸・手・足等に現れた吉祥万徳(幸福と功徳)を示すとされ、日本では仏教や寺院の標識・記号に用いますが、元は中国の仏典訳者が万の字の代わりに用いたことに由来します。

 一説には字形卍(左旋回の左万字)は誤りで右旋回の右万字が正しいとも言われ、ヒンドゥー教等では両方に異なった意義付けを与えていますが、中国や日本ではその区別はなく、現今の日本ではもっぱら左万字卍が用いられています。

 万字の歴史は古く、前三千年紀古代文明の栄えた各地域で出土例があるようで、太陽が光を放つ状態を象形化したのが起源であるとされるようですが、運動のシンボルでもあったようです。他にアショーカ王碑文中の吉祥の意の(svasti)という文字を図案化したものが起源とする説など異説も多く一定しないようです。

 ヒンドゥー教では、ビシュヌ神の胸の旋毛を象徴するものとされ、仏教では釈迦の胸や足裏にある瑞相とされ、ジャイナ教でも吉祥の印として用いられています。 初期には回転の方向による明確な意味付けはなかったようですが、「太陽・天体の運行である右回りに同調。インドにおいて樹霊が宿る菩提樹を中心に右回りしながら男児の誕生を祈る。仏教発祥以後聖地を右回りに拝するのが良いとされた。」等の理由によって右万字が正常で聖なるもの、左万字は逆に死を表すものとして区別されることもあるようです。

 普通の熟語では、入り乱れる様を表す「卍巴(まんじともえ)」と、他では明らかに漢籍とは言えませんがプロレス技の「卍固め」が有ります。卍は仏書で万の字の代わり並びに標識・記号として受け継がれて残ったと考えられますが、国字を除き日本で漢字と言う場合には、18世紀初頭の中国・清の康煕帝の命令によって編集され約4万7千語が収録された漢字字典「康煕字典」を規範して漢語・漢和辞典等が編纂されるのが一般的ですから、収録されていれば漢字って事にはなるようです。

卍の書き順(筆順)の一例としては、
0━1  6  
   ┃  ┃  1画目(0→1)、2画目(2→3)、3画目(1→4)、
2━╋━3   4画目(2→5)、5画目(6→3)、6画目(4→7)、
┃ ┃     <漢和中辞典・旺文社>が有りますが、
5  4 ━7   書き順に基準・規則性はあってもルールは有りません。

情報源:『世界大百科事典(平凡社)』
        
【キーワード】 寺院記号 

参考
 卍はLが4つ組み合わさったものと解釈
 4L=Life(無量寿)
Light(無量光)
Liberty(自在・解放)
Love(慈悲)
 ・・・阿弥陀仏のお徳を表わすもの
     (尼崎市 宏井晃信師 の法話で)