IN 尽十方
 ー 榎本栄一『尽十方』より

○尽十方の御他力(おんはたらき)
  おぼつかない足どりなれど
  ゆける ところまで
  じねんに きみょう尽十方の
  無碍光如来さまの
  久遠劫(くおんごう)よりの
  御他力(おんはたらき)をたまわり


○世話女房
女房の
くせ欠点には目をとめず
ようやく凡夫どうしとわかり
いたわりあいながら
大悲無倦常照我
(だいひむけんじょうしょうが)


○念がながれはじめる
なむあみだぶつの御光照(おてらし)で
自分の 念(おもい)がみえはじめ
じねんにながれはじめ
ときに逆流しながら
またながれ
ほのかに仏智たまわるをしり


○泥凡夫
           ー慈眼視衆生ー
  仏はつねに御座(おわ)せども
すこしはなれて
おおらかに御覧くださるのが
この泥凡夫(どろぼんぷ)の身にしみる
無言のままの御慈眼(おんじげん)


○日日新たなり
  無限から
  来てくださる一日さまを
よくみておれば
少しづつちがうのがうれし
一日さまは私のいのち

○善知識
よくみれば
うちの女房も 善知識
私が月日(つきひ)をかけて遍歴したのは
みな 菩薩さま 善知識
五十三人より多いかもしれぬ
普賢菩薩(ふげんぼさつ)さまを拝めるのは
これから


○無縁の大悲
この凡愚にたまわる
一日 いちにちを
だいじにお受けしていると
無縁の 大悲が
ほのかに 伝わってまいるようです


○竹
いつのまにか新年がきており
竹のように
すくすくとはゆきませぬが
私も 老いながら
もう一節(ひとふし) 伸びそうでございます


○大慈悲心
  大慈悲心はお光となって
  私のぼんのうを
あきらかにおみせくださる
時おり ぼんのうがみえながらの
毎日の暮らし


○自分がみえぬ
    大悲ものうきことなくて常に我を照らしたもう
 私共人間の 自分がみえぬという
 この果てのない愚かさが
 大悲心に光る
 如来さまの
 ご苦労くださる大舞台になる
 ここは 終幕がない
 あらゆる事件は自分がみえぬ
 
ことからおこるのではないか


○耳
この きこえにくい耳を
澄ませていると
ほんにこれは 三千大千世界を
超えて きてくださる
お光さまの 久遠の 波おと


(出典 榎本栄一『念仏のうた 尽十方』
            平成5年))
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