RE 天与の場所

藤原正遠先生と囚人
(刑務所での藤原先生講話のあと)
囚人(25才ぐらい)
 「僕たちは正直者でうまくごまかせないから、
  白状して、刑務所入りになった。あんたた
  ち娑婆の人は、いいかげんごまかしている
  から、刑務所に入らずにおるのやないか」
藤原
 「そのとおり。僕はうまくごまかして世渡り
  上手にやってるから、刑務所に入らずにい
  るが、そのうち、やりそこねて入ってきた 
  ら、その時はよろしくー。
   だが、あんたは、正直者が刑務所に入る
  といったね。ならば、刑務所は正直者のい
  る場所だ。正直者の集まっている天与の場
  所じゃないか。
   しかし、あんたの話は、ブーブー文句
、  不平、やけっぱちに聞こえる。
   川のドジョウは小川を天与の場所と考え
  て一所懸命泳いでいる。金魚は鉢の中の水
  を天与の場所と心得て、悠悠泳いでいる。
  あなたも、正直者の集まっている刑務所を
  天与の場所として、生き生きと楽しく刑務
  所生活をしたらどうかね」

後日、囚人から手紙がくる。
 「この間のお話は胸にしみました。言われた
  とおり、刑務所は私の天与の場所でした。
  だのに、いつも逃げようとばかりしていま
  した。
   麦刈りのとき、逃げようと考えていた
   ため、鎌で指を切ってしまったこともあり
ます。
 ところが今日は天与の場所だと納得して麦
刈りをしていましたら、雲雀の声が聞こえてき
ました。少年の頃聞いた雲雀と同じ声だと、
しみじみ感じたことです。
 ありがとうございました」

こうしてその囚人は模範囚になり、刑期より
2年半早く出所したといいます。

 ◎念々刻々、如来の御はからいのままに、こ
  の場所にいる。如来与の場所・境遇と手を
合わせて受け取る。大いなるいのちの世界
にいかされているのである。(藤原師))

(出典 竹下 哲 『ほんとうの人間にあるとい
    うこと』より取意)
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