RE 慈父の涙

 本願寺派の名布教師であられた(昭和-平成年代)
雑賀正晃師は、幼少の時小児麻痺にかかり、片脚が
細く、痛むので、いつも足を引きずって歩いていた。学
校でそのためいじめられてる。ある日痛い足が石につま
づいて倒れ、ランドセルの中の教科書などが散らかる。
同級生たちがそれを一つづつ拾い上げて、さあとりに来い
といい、足をひきずる真似をしてみせる。泣きじゃくってい
るとき、ちょうど父が通りかかった。父は級友達を叱るので
はなく、正晃をつれて海岸に出、砂の上に坐らせて言う。
 「お前は痛い足をかばうから足を引きずり、いつまでもう
まく歩けない。もっと細い足を訓練して一人前にせよ。で
きないことはない。必ずできる。父さんの子だから、父さ
んの子だから・・・」
 眼をあげてみれば、そいういっている父の顔は涙でぐ
しゃぐしゃだった。
 その父も三十九歳で亡くなった。
 (正晃師は、この父の慈愛によって、艱難を
  克服し、立派な布教家になられたのである。)
        
(出典 雑賀正晃 法話「まことの救い」(市原栄光堂)
    より)
【キーワード】父の慈愛 智慧 発奮 いじめ
     身体障害 布教家