RE あんたは如来の子(救うのは慈悲)

 某青年Aは、何軒も強盗に入り、何人も殺して
捕まる。そのニュースを聞いた或る高名な、盲
目の念仏僧N師は、警察署長に「ぜひ、その人
に会いたい」と申し出る。高名な僧からの依頼、
断れずに署長、「どのようにして会われますか?」
「普通のように、椅子と椅子で」「看守がつきます
が…」「結構です」
 こうして囚人Aが出てくる。N師「もっと近くへ、
もっと近くへ…」膝が触れんばかりになると、N師、
手を伸ばしてAの顔をなで、「若いのう…」といい
つつ首をなで、肩をなで、突然ガバーッと抱きか
かえ、耳元へ一言「あんたは如来の子だよー!」
 その晩、Aは眠れない。数日後、Aは署長に申し
出る。「早く裁判を・・・。弁護士は不要。
死刑にして下さい。但し最後に一言云わせてほし
い」と。
 判決後、裁判長「そして云いたい一言とは?」
A「私は自分の出生を知りません。ある施設で、
夜直の人が門を開けに行って、門の脇に箱にい
れた置かれていたのが私でした・・・学校で何か
事件が起きる度に「あの子では?」と白い目、
後指・・・ひねくれ、だんだん悪事をはたらくように
なり、捕まった・・・そして今度、生まれて初めて
抱きかかえられ、人の温もりを感じました・・・」
 人を救うのは裁きではない。慈悲なのです。
        
(出典 雑賀正晃法話テープ「聞くということ」
    より)
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