MM 貪欲の姿 花泥棒

1)Sさんは、元小学校教員で、仏教婦人会の会長までした、信心家。よく墓参し、寺へも仏具の寄付などしている。ところが、八十台終になると、いわゆる痴呆症になって、毎日のように墓参する。それはよいのだが、途中どこの家にでも咲いているお花を(だまって)取ってきて
自分の先祖に捧げる。苦情が出てきて、家人も注意したのか、そしたら、今度は、道端のタンポポのような草花を根こそぎこいできて、墓の前に供える。こうして、墓の前には枯れた草花や泥土の小山ができてしまうほどであった。
 人間の意識下の根性が顕れているようで、何とも悲しい話である。

2)Aさんは主人を亡くしてもう三十年。たいていお盆には半日かけてT市から墓参にくる。ある年、まだお盆には数日前、ちょうどお内陣のお花にと、近くの花畑から切ってきた花が、本堂の縁側にバケツにいれてあった。そこへAさんが来た。見ていると、何の断りも、遠慮もなく、その花を、バケツの側においてあった花バサミで短く切って、自分の墓へもっていき、供えてから、本堂に入ってきた。何の悪びれもない。
 もう後期高齢者にはなっているが、なんという根性であろうか。「泥凡夫」といわれる理由がわかるようだ。
 花ぬすみせし手に数珠かけ墓参顔
(210810)

(出典 浄厳 実際の出来事)
【キーワード】 欲まみれの根性 無意識
盗みの心理