KB 四種往生(安心決定鈔)

一 四種往生の事。
 四種の往生といふは、一つには正念往生、『阿弥陀経』に、「心不顛倒即得往生」と説く、これなり。
 二つには狂乱往生、『観経』の下品に説きていはく、「十悪・破戒・五逆、はじめは臨終狂乱して手に虚空をにぎり、身より白き汗をながし、地獄の猛火現ぜしかども、善知識にあうて、もしは一声、もしは一念、もしは十声にて往生す」(意)。
 三つには無記往生、これは『群疑論』にみえたり。このひと、いまだ無記ならざりしとき、摂取の光明に照らされ、帰命の信心おこりたりしかども、生死の身をうけしより、しかるべき業因にて無記になりたれども、往生は他力の仏智にひかれて疑なし。たとへば睡眠したれども、月のひかりは照らすがごとし。無記心のなかにも摂取のひかりたえざれば、ひかりのちからにて無記の心ながら往生するなり。因果の理をし
らざるものは、なじに仏の御ちからにて、すこしきほどの無記にもなしたまふぞと難じ、また無記ならんほどにてはよも往生せじなんどおもふは、それはくはしく聖教をしらず、因果の道理にまどひ、仏智の不思議を疑ふゆゑなり。
 四つには意念往生、これは『法鼓経』にみえたり。声に出してとなへずとも、こころに念じて往生するなり。
 この四種の往生は、黒谷の聖人(法然)の御料簡なり。
        
(出典 安心決定鈔)
【キーワード】 往生 正念 狂乱 下下品
  群疑論 無記 無意識 散乱放逸 法鼓經
  
参考
①「意念」・・・『法然上人行状絵図』744-748頁
       に言及あり
②『老いて聞く安らぎへの法話』(藤枝宏壽 自  照社出版) 25-26頁に言及あり
③「真実信心の行人は、摂取不捨のゆゑに正定  聚の位に住す。このゆゑに臨終まつことな  し、来迎たのむことなし。信心のさだまる
  とき往生また定まるなり。来迎の義則をま  だず。」(親鸞聖人御消息 ㈠)有念無念のこ  と)
☆要は、平生に聞信していることが大切。