IN 冬空を見ず

 冬空を見ず 衆生を観(み) 大仏(おおぼとけ)   虚子
 
 この句は、今申した仏智というものの性格をよく表している句だと思います。日常生活にかまけているわれわれが見ることができないような、高い冬空を超然と見つめているのが仏さまではないということです。仏さまはいつも迷える衆生の方を見ておいでになる。衆生のことを一刻も忘れておられない。それが仏眼というものの姿だといわれるのです。美しい冬の青空が大仏さまの上にあるけれども、大仏さまはそんな冬空なんか見向きもしないで、ひたすら足もとでうごめいている衆生の方ばかり見ておられる。ここに仏智というものの本質があるのです。
   ーーー大峯 顕『召喚する真理』より

        
(出典 高浜虚子・大峯 顕)
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       迷い さとり 慈悲