IN 「私の中」他 『煩悩林』より
                   榎本栄一
  私の中
私の中 覗いたら
お恥かしいが
だれよりも
自分が一番かわいいというおもい
コソコソうごいている


  足音
夜 かすかな雨の音
風の音
これは仏さまが
この人の世を
おあるきになる足音です


  やどかり
この貝殻は
私がつくったのものではない
天地さまから
お借りして
その日その日をすごしている


  罪悪深重
私はこんにちまで
海の 大地の
無数の生きものを食べてきた
私のつみのふかさは
底しれず


  煩悩さま
いのち終るまで
いっしょに暮らし
いずれ別れる
煩悩なれば
今は だいじに見まもります


(出典 榎本栄一『煩悩林』難波別院 昭和53    年)
【キーワード】 自己中心、足音、貝殻、罪業
      殺生、煩悩