IN 「一生素人」他 『難度海』より
   榎本栄一

   一生素人
 ながい この道
 ゆきゆけど
 私は一生
 未熟なままのしろうと


   研究者
 私は 如来の光を仰ぎつつ
 自分のココロとカラダを
 研究しています
 興味しんしん
 このふかしぎを礼拝す


   光を迎える
 なむ十万億土からの光さま
 相すみませぬ
 いま私の中には
 邪見憍慢心がいっぱいで
 むさくるしゅうございますが


   いきとおし
 私は 現世だけを
 見ていたが
 過去もむげん
 未来もむげん
 いのち茫茫はてがない


    一人一道
 人間はみな
 だれも通ったことのない
 自分が はじめて通る道を
 一生かかってあるく


   いろもなし
 妄念 涌くままに
 なむあみだぶつ申すとき
 この奥に
 仏 生(あ)れ坐(ざ)す
 いろもなし 形もなし


   細胞無倦
 老いさらばえし
 わが身の無数の細胞
 今も 新生しつつ
 倦まず
 はたらいてくれるようです


    いのちまんだら
 ほんに大(だい)生命(いのち)さまが
 お産みなされた人間は
 一人ひとりみなちがうのや
 それゆえ一層たのしいと
 大生命さまは
 目を細くされる

 
(出典 榎本栄一 『難度海』 昭和56年
           念仏のうた 第三集)
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【参考】榎本栄一(明治36(1903)年淡路島生まれ 父母大阪で小間物化粧品店開業
    十九歳で店を継ぐ 戦災  昭和54年 七十六歳で廃業)
    二十歳ころより詩作 ~ 最晩年まで
    平成11(1998)年逝去。