IN 山も山

山も山 道も昔に変わらねど
   変わりはてたるわが心かな
                明法房(元 弁円)

あるとき明法房が稲田で親鸞聖人のお帰りを
待っていたが、なかなか帰ってこられない。もし
や山中でご病気にでも?と案じて、明法房は板
敷山に趣く。
 山中で、お念仏しながら来られる聖人に会い安
堵する。
「ようこそお帰りなさいませ。遅いのでご案じ申して
いました」
「わざわざ、出迎えてくれてありがとう。さあ戻ろう」
と聖人が云われるが、明法房突然泣き出す。どうし
たのかと聖人が問われると、
山も山道も昔に変わらねど
   変わりはてたるわが心かな
と歌を詠んだ。
 「昔は、この板敷山でお聖人さまを殺そうとまで思っ
ていましたこの私の心が、今ははや、お聖人さまのお
かげて、お念仏をよろこばれる身となりました。わが心
ながらよくも変わったものでございます」
と涙ながらに云ったという。

(参照 HG 弁円と明法房)

(出典 宏壽 聞法ノート 伝聞)
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   板敷山 廻心