IN 生ましめんかな

【 生ましめんかな―原子爆弾秘話 】
               栗原貞子 

こわれたビルデングの地下室の夜であった。
原子爆弾の負傷者達は
ローソク一本ない暗い地下室を
うずめていっぱいだった。
生ぐさい血の匂い、死臭、汗くさい人いきれ、うめき声
その中から不思議な声がきこえて来た。
「赤ん坊が生まれる」と云うのだ。
この地獄の底のような地下室で今、若い女が
産気づいているのだ。
マッチ一本ないくらがりでどうしたらいいのだろう
人々は自分の痛みを忘れて気づかった。
と、「私が産婆です、私が生ませましょう」と云ったのは
さっきまでうめいていた重傷者だ。
かくてくらがりの地獄の底で新しい生命は生まれた。
かくてあかつきを待たず産婆は血まみれのまま死んだ。

生ましめんかな
生ましめんかな
己が命捨つとも

        
(出典 筆者 書名等)
【キーワード】 

参考
☆栗原貞子さんのお話
 みなさんが、平和学習の発表をするのを見て「あぁ。
やっぱり、平和を作っていくのは子どもだ。」と思いま
した。インターネットで世界中の子どもたちと交流し、
結びあい、平和を作っていくんだ。私のあとも、もうだ
いじょうぶだと感じました。  「うましめんかな」は教科
書にも出ているので、よく感想をもらいます。多いのが
「産婆さんはえらい」というものです。 でも、ひとりの人
の立派な行為をほめるだけではなく、作品の世界を感
じとってほしいと思います。真っ暗のなか、みな傷つき、
それでも何とか、無事に赤ちゃんを産ませたいものだ
と考えている。人間がぎりぎりのときに、それでも何と
かしたい、助けてあげたいと思うものなのです。私は、
自分の命を落としても、赤ちゃんを産ませた産婆さんを
ほめたのではなく、人間全体をほめた詩です。
 「うましめんかな」には、平和を産みましょうという気持
ちもこもっているのです。「暁を待たず」というのは、8月
15日の平和の日を意味しています。 「産婆さん」は、8
月15日の平和の日を知らずに死んでいった20万の
人々なのです。20万の人々が亡くなったことによって、
「新しい命」、新しい広島の心が生まれたのです。私た
ちは、広島の心、広島の願いを大事に思って、人間が
いっしょになって、戦争のない、原爆のない平和な世界
を作っていかなければならないと思います。みんなで、
平和学習を続けて、平和な世界を作っていってほしいと
思います。
  (長束小学校HP)


☆栗原貞子
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

栗原 貞子(くりはら さだこ、1913年3月4日 - 2005年
3月6日)は、『生ましめんかな』で知られる日本の詩人。
峠三吉などの原爆詩人の一人。広島県広島市生まれ。

可部高等女学校(現広島県立可部高等学校)在学中の
17歳から、短歌・詩を中心に創作活動を始めた。1945年
8月6日に爆心地の4キロ北の自宅で被爆。戦後は夫の
栗原唯一とともに執筆活動を行い、反戦・平和を訴え続
けていた。1990年第3回谷本清平和賞受賞。

2005年3月6日老衰のため広島市内の自宅で死去した。
享年92。

その意志を継いで護憲の活動をしている栗原真理子は
長女。

『生ましめんかな』 [編集]
この詩は原子爆弾が投下された夜、防空壕に避難していた
被爆者の1人が突然産気づき、赤子を取り出す為に同じ地下
壕内に避難していた1人の産婆が、自らの怪我を省みずに
無事赤子を取り上げるが、それと引き換えに命を落としたと
いう内容である。この詩の内容は架空の物語ではなく、広
島市千田町の郵便局地下壕で実際に起った出来事を聞い
た栗原が、脚色を加えて作った詩である(事実では産婆は
生き残り、後に取上げた子供と再会している)。消えていく命
と生まれ出る命を対比的に表現し、原爆を主題とした詩の中
で、原爆の悲劇と人間のたくましさ、未来への希望を表現し
た名作との評価は高く、原爆詩の代表作の1つとされている。
現在詩の舞台となった日本郵政株式会社中国支社の敷地内
にある『郵政関係職員慰霊碑』と共に『生ましめんかな』の歌
碑が建てられている。

著書
私は広島を証言する 詩集 詩集刊行の会 1967
ヒロシマ24年 どきゅめんと 現代の救済 社会新報 1970
(新報新書)
ヒロシマの原風景を抱いて 未來社 1975
ヒロシマというとき 三一書房 1976
核・天皇・被爆者 三一書房 1978
未来はここから始まる ヒロシマ詩集 詩集刊行の会 1979
核時代に生きる ヒロシマ・死の中の生 三一書房 1982
核時代の童話 反核詩集 詩集刊行の会 1982
黒い卵 占領下検閲と反戦・原爆詩歌集 完全版 人文書院 1983
栗原貞子詩集 吉田欣一編 土曜美術社 1984 (日本現代詩文庫)
ヒロシマ 詩と画で語りつぐ反核詩画集 吉野誠画 詩集刊行の会 1985
青い光が閃くその前に 反核詩画集 吉野誠画 詩集刊行の会 1986
問われるヒロシマ 三一書房 1992
栗原貞子全詩篇 土曜美術社出版販売 2005
「http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A0%97%E5%8E%9F%E8%B2%9E%E
5%AD%90」より作成
カテゴリ: 日本の詩人 | 広島原爆の被爆者 | 広島県出身の人物 |
1913年生 | 2005年没