IN 老人六歌仙(仙厓)  

1.皺(しわ)がよる 黒子(ほくろ)ができる
   腰曲がる 頭はげる ひげ白くなる

2.手は震う 足はよろつく 歯は抜ける
   耳は間こえず 目は疎(うと)くなる

3.身に添うは 頭巾襟巻 杖眼鏡
   たんぽ温石 尿瓶(しびん)孫の手

4.聞きたがる 死にともながる 淋しがる
   心は曲がる 欲深くなる

5.くどくなる 気短くなる 愚痴になる
   出しゃばりたがる 世話焼きたがる

6.またしても 同じ話に 子を褒める
   達者自慢に 人は嫌がる

近世禅宗の寺の鬼才として、駿河の白隠(はくいん)、
越後の良寛(りょうかん)と並んで博多の仙厓と呼ばれ、
広く世に知られた画僧仙厓。
禅の教えや日常の中に潜む様々な機微を、仙厓独特
の軽妙洒脱な語り口で、大衆にわかりやすい書画に
説きあらわしました。
上の《老人六歌仙画賛》は「しわがよる。ほくろができ
る」から始まり「達者自慢に人は嫌がる」まで、人が老
いるという現象について、ユーモアたっぷりに描いてい
ます。思わず苦笑の言葉の数々。
こうした禅宗の高僧らしからぬ人間臭い人柄が、町民
から武士、百姓にいたるまで幅広い人々に親しまれた
所以なのでしょう。

(出典 仙厓和尚(1750-1837))
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