IN 母さん恋しと思うなら

「母さん恋しと思うなら」
 福岡県糸島郡前原町波多江
             友森とし子
一 人生二十八年の 
  旅路をここに終ります
  皆さんお世話になりました
  夫よ子供よさようなら

二 *母さんほんとにありがとう (*実家の母)
  私の心のおろかさに
  わがままばかりいいはって
  あなたを泣かせて来ましたね

三 わたしの宿業だきしめて
  み親もともに泣きますと
  きかせてもらったその日から
  心の闇は晴れました

四 ようこそ教えて下さった
  泣く泣く三途に沈む身が  
  無碍の白道ひとすじに  (*無碍の一道)
  久遠のみ親とまいります (*二河白道)

五 一日ごとに腫れていき
  いたみのつのるこの腹を
  なでては泣いたこの口に
  今では念仏たえませぬ

六 わたしが逝ったそのあとで
  あけくれ三人の幼児が
  母をたずねて泣くでしょう
  思えば心が残ります

七 お浄土さまからわたくしが
  じっと護っておりますよ
  世間の人に愛されて 
  生きぬくようにたのみます

八 幼き三人の子供らよ
  母さん恋しと思うなら
  みほとけさまに手を合わせ
  南無阿弥陀仏ととなえてね
  (*追善供養でない
   母は念仏の中に
   住む)
九 落葉をおくる風澄みて
  み空にかかる月さえも
  雲一つなく冴えわたり
  西へ西へと急ぎます

十 わたしもいきます西の国
  かがやく光のお浄土へ
  それではみなさん さようなら
  南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏
        
(出典 舟橋一哉「生きぬく力」(すねいる法話テー
プ)に収録 )
【キーワード】 若死に 遺児3人 還相廻向
  宿業 み親 心の闇 光明土 感謝 
  恩愛断ちがたし 
参考 出典は或る新聞の社説の欄。ある主婦の
   辞世の詩。二十八歳で腹膜炎で、3人の
   幼い子供を残して昭和31年になくなる。 し
   かし、深く仏法をいただいている。
   夫は日本通運勤務(馬車ひき)とのこと。