IN 一休道歌
○仮りの世にまた旅寝して草枕夢の世にまた夢 をみるかな
○引き寄せて結べば草の庵にて解くればもとの 野原なりけり
○分け登る麓の道は多けれど同じ高嶺の月をみ るかな
○雨あられ雪や氷とへだつれどとくれば同じ谷 川の水
○あわれ見よ鳥辺の山の夕煙それさえ風におく れ先立つ
○悟り得て何楽しまん無一物本来食う(空)て 寝たり起きたり
○去此不遠実(げ)に目の前の極楽を見果てもやらぬ 人のはかなき
○有漏路より無漏路へ帰る一休み雨降らば降れ 風吹かば拭け
○生まれては死ぬるなりけりおしなべて釈迦も
 達磨も猫も杓子も
○世の中は食うてはこ(くそ)して寝て起きて さてそののちは死ぬるばかりよ
○作りおく罪が須弥ほどあるならば閻魔の帳に 付けどころなし
○生まれきたその前生を知らざれば死に行く先 はなお知らぬなり
○年ごとに咲くや吉野の山桜木を割りてみよ花 のありかを (←仏法はどこにあるか?)
○阿弥陀仏悟れば即ち去此不遠迷えば遙か西に こそあれ
○煩悩を即菩提ぞとなすことは一念回向のその
 うちにあり
○極楽の月まつ夜半の念仏は雲霧払う秋の西風
○障りなく本来空に帰るこそこれや西方往生と 知れ
○西方の本来空に往生し無量寿仏となるぞめで たき
○明日ありと思う心にほだされて今日も空しく
 日を送りけり
○骨かくす皮には誰も迷いけん美人というも皮
 のわざなり
○極楽は十萬億土遙かなりとても行かれぬわら じ一足
(△極楽は十万億土というならば足腰立たぬ  婆は行けまじ  一休
 △極楽は十万億土というなれど近道すれば南  無のひと声  蓮如)
○襟巻きのあたたかそうな黒坊主こいつが法は
 天下一なり (親鸞聖人二〇〇回忌に詣って)

(出典 『一休道歌』 禅文化研究所 H9年)
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