HY ゼミール王物語

昔、ペルシャ国にゼミール王がいた。20才王位につき、
全国の学者を招集し、「人類の歴史を詳しく調べて報
告せよ」と命じた。
 20年後、500巻の書がラクダ12頭に積まれて王の
もとに届けられた。王は「多忙で読んでおれない。もっ
と縮めよ」と命じる。20年後ラクダ3頭分に縮められた
が、「もっと縮めよ」 
 さらに10年後、ラクダ一頭分になるが、王は「もう老
いてしまった。もっと縮めよ」
 5年後1巻にまとめられたが、もう大王は臨終の床。
「一口で言え」
 そこで一老学者が
 「三つの言葉で申上げます。
  『人は生まれ、人は苦しみ、人は死す』」

(出典 アナトール・フランスの短篇小説
  松扉哲雄『人間成就』99号所載)
【キーワード】 人間の歴史 最短篇 
  3つの語 生・苦・死