HY 私の煩悩あげられん

―ある門徒のお年寄りで森ヒナさんという方が
いました。
 鈴木大拙。。博士が、北陸のこのお婆ちゃん
に是非会いたいといって出会いが成立しました。
(鈴木大拙『妙好人』法藏館参照)
 そして、ヒナさんは、『わが機、ながめりや、あ
いそもつきる、わがみながらも、いやになる。あ
あ、はづかしや、なむあみだぶつ』『いやになる
やうな、ざまたれ、ばばに、ついてはなれぬ、お
やござる。ああ、ありがたい、なむあみだぶつ』と、
自分では文字が書けぬので、我が子に書いて
貰っています。ヒナさんは、いやになるよな煩悩
だらけのザマタレ婆であると歌っていますが、そ
の歌を取り上げて、大拙師「わが身ながらもい
やになると書いてあるが、これあんたの煩悩や
ろ。この煩悩、半分わしに分けてくれんか?」す
ると、ヒナさんは、「いや、あげられん」、「なんで
や?あいそもつきるような煩悩なら分けてくれん
か?」というと、「いや、これは分けられん」、との
押し問答の末、ヒナさんは「この煩悩あればこそ、
この煩悩照らされて(如来さんというはたらきに)
であえたんや」「そうやったな、儂もおばあちゃん
の二倍も三倍も煩悩もっとるさかい、お互い、この
煩悩大切に生きていこうな」といったそうです。

(出典 鈴木大拙 『妙好人』 法蔵館)
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