HY 終バスに乗車(気づき)

「癌になる前、自分の力で生きているのだと自信過剰な私であった・・・癌に直面した私は、
それまでただひたすら己の道を歩み続けて来たが、立ち止まらざるを得なかった。まず第
一に浮かんだ疑問は、これまでの人生を本当に自分の力で生きてきたかどうかということ
であった。
他力によって生かされてきたのだと。なぜ、今までこんな単純な真理に目を閉じていたん
だろうか。気づくのが遅すぎたと思うと同時に、気づかぬまま死ぬよりよかった。やっとの
思いで終バスに乗車できたのである。
     阿部幸子
        
(出典 『ビハーラ医療団 学びと実践』)
【キーワード】 癌 自力 他力 気づき
        間に合った

参考
阿部 幸子(あべ ゆきこ、1931年(昭和6年) - 1992年(平成4年)12月8日)は、英文学者。
愛知県名古屋市生まれ。専門学校卒業後、南山大学英文科へ学士入学、1957年京都
大学大学院英文学専攻博士課程満期退学、光華女子短期大学助教授、ノートルダム
女子大学助教授、大谷大学助教授、ドイツ留学の後、1969年学園紛争のため辞職、京
都工芸繊維大学助教授、教授、1989年岡山大学教育学部教授。赴任後程なく、癌に冒
されていることが分かり闘病ののち61歳で死去。夫はイタリア文学者の阿部史郎。
 <大谷大学に就職していたことが
  気づきの仏縁になったのであろう>

著書[編集]
『現代英国文学の諸相』 恒星社厚生閣、1970年。
『比較文学』 仏教大学通信教育部、1987年。
『E・M・フォースター研究』 ニューカレントインターナショナル、1989年。
『生命をみつめる 進行癌の患者として』 探究社、1991年。
『死の受容 ガンとわかってから三年余を生きて』 講談社、1992年。
『病棟の光と翳 がん闘病記』 探究社、1992年。
『生命ある限り』 探究社、1993年。
『阿部幸子闘病日記』 探究社、1995年。