HY 荷負群生

原口針水和上が高座で布教される。そのすぐ下に
母娘とおぼしき二人がいつも熱心に聴聞している。
ある時、和上、控え間から本堂につと戻られると、
その二人連れが今帰ろうとしている。
見ると、母が娘を背負い、娘の両脚はだらりと垂れ
たまま。本堂を出て戻っていくその姿を和上は合掌
して拝んでおられる。
 その視線を感じた母、娘を背負ったまま戻ってきて、
「どうして私どもを拝まれるのですか」と聞けば、
和上「決して貴女を拝んだのじゃない。貴女に生きて
おられる如来さまのはたらきを拝んだのだ」「???」
「娘さんは足がご不自由なようじゃが、動けぬまま、
すっかりお母さんに身をまかせ、一歩、一歩、我家へ
帰っていかれる。我われも、如来さまに背負われて、
一歩一歩お浄土への道を辿らせていただいている。
その如来さまの御はたらきに合掌したのだ。
われ称え われ聞くなれど ナムアミダ
   つれていくぞの 親のよびごえ」

<参考>
 「群生を荷負して之を重担となす」(人々の苦
  しみを背負いひきうけ、導いていく)
                      ---無量寿経

(出典 小林顕英 本願寺ご正忌御堂布教 取
    意・補説 22-1-15)
【キーワード】 凡夫 障碍 無力 背負う 自力無功
         絶対他力 絶対憑依