HT 宗教の純化と隆盛
科学技術が嘗て人類になかったころ、また、
その力が乏しかったころ、人々が宗教に期
待し、神の全能や奇蹟によって果たしていた
この世の現実的願望や要求は、現在では宗
教から切断して、すべて科学術に委託し、こ
れに依存すべきであろう。
そういう意味でいわゆるご利益といわれる
一切の現世的価値は宗教から清算し、宗教
は人間が先ず何を思い、何を信じ、何を望み
何を愛すべきかを教える本来の超越的知、
救済の知に専念すべきであろうし、人々も
宗教をそのように思わなくてはならない。
それは、企業としての宗教を危殆に至らし
めるかもしれない。しかし、あるべき姿の
宗教は必ず人々が護り立てるであろう。
今道友信 東大名誉教授(1922生)
(出典 『科学と宗教』344頁)
【キーワード】科学技術 現世的価値
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