HT 生死を超える道

「他力といふとわしの外にあるやうであるが、わしが
をるといふことが、他力の活動である。(中略)我々が
ここへ来るといふことが生れる、それから去るといふ
ことは死ぬ。我々がここへ生れるのも絶対の働きなら、
ここから死んでいくといふことも絶対の働き。死生とい
るものは、わしの力でどうにもならん。生もわれらなり、
死もわれらなり。それが宇宙の働きの上に生かされて
をる、死なしめられていく。(中略)生ずるも他力なり、
死するも他力なり。われらは生死に左右せられるべき
ものに非ず、われらは生死を併有するものなり。おれが
安心出来りゃ、死のうか、生きようかと、心配も何もない。
(中略)宇宙がわれに生を命ずるときは、生きてをれば
よい。死を命ずるときは、静かに死ねばよい。そこに何の
あわても、ふためきもない。生を楽しみ、死を楽しむ。所謂
そこに生死一如がある。」
      『絶対他力の大道(講話)』76才

「死んでも死なんのだと、死に対する恐れが肉体を超え
た永遠の命の世界に入る、これが「帰命無量寿如来」で
ある。自分の命を、肉体のある間だといふやうに考えて
おる時は、肉体の死は非常な恐れである。その恐れの
中から教えにふれると、肉体の始まる以前から以後へと
流れてをる永遠なるもの、即ち無量寿に目が開かれて
肉体の死を超えた喜びを得るのである。」
      『正信偈講話』55歳

(出典 暁烏 敏)
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         喜び