HG 腹はたつもんや
 
 石田操さん(六十八歳・金沢在住)さんに会った人は、誰でも、その輝くような顔に魅せられる。石田さんは、深い悩みを背負って、三十年近くも、生涯の師・曽我量深先生に聞法された。石田は、おっしゃる。
 「曾我先生の話、三十年近くも聞いてきたけど、わかったことはたったひとつ。それは、
〝腹は立つもんや〟といういことや。仏法聞いて、ええもんになろうと思ってたけど、ダメなもんやということがやっとわかりました。そこからはじめて聞法に足がついてきました」。
 それが石田さんの応えである。〝腹は立つもんや〟、このひとことに、石田さんの全宿業がいただかれてある。私は、石田さんの表情の豊かさがはじめてわかったような気がした。

(出典 松本梶丸『生命の大地に根を下ろし』)
【キーワード】 煩悩具足 宿業 聞法